WHITE ROOM COFFEE BLOG

コーヒーの抽出に特化した記事をメインに記載します

注湯回数と注湯間隔でコーヒーのテイストはどう変わる?

ご無沙汰してます。WRCのレオです。
本日はドリップコーヒーでの注湯回数と注湯間隔がそれぞれどう作用しているのかを検証してみたいと思います。

 

 

使用器具と検証方法

使用器具

検証方法

粉量は14g 湯量は200gのBRは1:14とする。

  • 5回注ぎ:60g,60g,30g,30g,20g
  • 4回注ぎ:60g,60g,50g,30g

各注湯量は上記のように設定し、前半2投でBRの60%を注ぐことで均一性をとることにしました。

それぞれのTDSとEYを揃えた上でテイストをとり、判断することにします。

 

検証1:注湯回数

検証1回目は注湯回数でのリアクションが見たかったので注湯間隔は30秒に統一し、湯量を5回と4回に分けてTDS,EYを揃えてみました。湯温はどちらも90℃です。

使用した豆はニカラグアのウォッシュドプロセスのコーヒーです。

結果

  • 5投:25clicks TBT2:20 TDS1.4 EY16.59
  • 4投:24clicks TBT2:00 TDS1.4 EY16.59

テイストは4投の方が酸味が強く、明るく感じました。

ウェイト感は4、5投共にそこまで大きく差は感じませんでしたが、5投の方がややSyrupyな粘性で甘さもより感じられました。

4投は比較するとややAcidicな印象を受けたが、それ故にEnzymatic aromaがキャッチしやすく、5投はSugar browing sweetnessを感じやすい印象でした。

これは4投の挽き目が1つ細かく、酸味が出やすい状況かつ1投少ないことで抽出時間も短くなることからも理解できるかと思います。

しかし、5投のコーヒーではEnzaymaticがマスキングされているというよりかは、sugar browningがより強調されていることでテイストの差が生まれていると考える方が自然だと感じます。

そのため注湯回数を増やすというのはお湯と粉が触れる回数が上昇することで、比較的分子量の大きい甘さや質感を形成する成分をより引き出せるのではないかと感じました。

 

検証2:注湯間隔

次は注湯間隔を広げた時のリアクションがみたかったので、4投で30秒間隔と40秒間隔でそれぞれTDSを合わせにいき、検証しました。

結果

  • 30秒間隔(A):23clicks TBT 2:23 TDS 1.51
  • 40秒間隔(B):26clicks TBT 2:45 TDS 1.51

テイストはBの方がacidicな印象。

ボディはAの方がミディアム、Bはミディアム〜ミディアムライト。しかしどちらとも粘性が感じられました。

Aは挽き目が細かいことから多くの成分を取り出せており、味わいが複雑で甘さが感じやすい印象です。

酸味のIntencityはBが強く、Brightでややシャープな酸味。 Aは丸みのある酸味。

濃度はどちらも同じだが、確実にカップに含まれた成分が異なる印象を受けました。

Aは酸味以外の成分も多く、甘さと複雑味のあるカップへ、Bは大枠が酸味の状態で目的濃度に達しているためやや酸味に傾いた印象。Bで粘性が生まれたのは、コンタントタイムによるものだと考えられます。今回の場合は粉の表面積の差がテイストに反映されているため、挽き目と時間の影響は非常に近しいのだと考えられます。

 

検証3:注湯回数と注湯間隔

それでは最後にこれら要素を組み合わせた場合の変化を検証するために30秒間隔で5回に分けた抽出Aと40秒間隔で4回に分けた抽出Bとで検証を行います。

この時A,Bどちら共に最後の注ぎ時間が2分からとなります。その際の挙動を見ていきたいと思います。

今回使用した豆はエチオピアのウォッシュドのコーヒーです。

結果

  • 5投 30秒間隔 A:25clicks TBT 2:47 TDS 1.41
  • 4投 40秒間隔 B:25clicks    TBT 2:50 TDS 1.38

何度か挽き目を調整し、合わせようと試みましたが、全く同じにすることができなかったため、一番近しい数字に出たものを比較しました。

Aは少し濃度が濃いためか、酸の明るさが明確で、よりフレーバーのトーンが濃く感じました。Bはフローラルノートや甘さを伴うフルーツノートがキャッチしやすく、甘さも感じやすい印象です。

しかしながらAの方がテイストが強く、かつ酸のIntensity、甘さのIntensityが強く感じます。全体的な強度はおそらくAの方が強く感じられます。そしてBは1回分の接触が少ないが故に、成分の移動量が少なくなり、軽めのニュアンスが故にややEnzymaticが感じやすくなったのだろうと考えられます。

そして非常に面白い点がありました。それは淹れ終わりのスラリーの状況です。

Aは上部に微粉確まり、底部に粗い粒子が溜まっていましたが、Bは逆で粗い粒子が上部にあり、底部に微粉がある状況でした。その為Bはわずかに遅い流速であったと考えられます。

 

まとめ

これら検証から考えられることは注湯間隔を伸ばすと収率を大きく向上させることができると考えられます。それは検証2,3からも導き出せたことですが、1回分の接触回数が少ないにもかかわらず、ある程度未抽出サイドに持っていくような働きをしないと、目標とするTDSを超えてしまうからです。40間隔で注いだコーヒーは全体的に甘く、濃度間の高いコーヒーに仕上がりました。

そして注湯回数は味覚要素の強度に影響していると考えられます。4投と5投で比べると4投の方がややシャープな酸味になり、5投は丸みはあるが強度は高くなる。

質感に至っては、4投に関しては成分の移動量が少ないが故に軽く感じ、Acidicに感じるのだろうと思います。5投と多く分けることにより、分子量の大きい質感を形成する成分を効率的に抽出できる為ボディのIntensityも向上し、粘性もついてくるのかなと感じます。
しかし粘性だけならコンタクトタイムの上昇のみでも確認できた為、やはり質と強度は明確に区別する必要があると感じました。

【焙煎】焙煎とは?焙煎解説篇

こんにちは、WRCのレオです。

今回は焙煎について

解説をしていきたいなと思います。

今後このブログでコーヒーの抽出にフォーカスした記事を挙げていきたいのですが、その前に焙煎を軽く触れておきたいなと思い、先に焙煎からアップします。

というのも抽出と焙煎は工程が全く異なりますがとてつもなくリンクしています。
そのため、焙煎をある程度理解しておくと、抽出も理解しやすくなっていくと思うので、少しお付き合いください。

とは言え、焙煎は実際に何が起こっているのかまだまだ分かっていないことだらけです。
かく言う自分もまだまだ勉強中の身でして、このブログも自分のインプットのために書き殴っているのに過ぎないので半ば反面教師的な目線で読んでいただけると幸いです。

 

 

焙煎とは

そもそも焙煎とはコーヒーの生豆に熱を与えることで化学変化を促し、コーヒーの香りや味わいを形作る工程です。

味わいを形成するとは言え、自由自在に作れるわけではありません。
コーヒーを勉強されている方なら7:2:1という比率を見聞きしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。これはコーヒーの味わいを決める比率を表したもので、コーヒーの味わいの良し悪しを決める比率は

生豆の品質:焙煎:抽出=7:2:1

つまり、焙煎し、抽出したコーヒーの味わいは7割生豆の品質ですよということです。
そのためどんなに素晴らしい焙煎をしてもアーシーなテイストのあるコーヒーがフローラルでフルーティなゲイシャのようにはできません。
つまり持っているもの以上のものはできませんよということです。

 

焙煎で形成されるもの

上記では、コーヒーの生豆に熱を与えることで香りや味わいを形作ると説明しましたが、実際にどんなものができているのかをご説明します。

ただ、焙煎中というのはとても複雑でここでこれができていますと断言できないくらい多くのことが起こっています。そのためざっくりとこんなものができているんだくらいに読んでください。

酸味

特にスペシャルティコーヒーは酸味で語られることが多い飲み物です。生産者の方々の弛まぬ努力と産地のテロワールによって、素晴らしい酸味が生まれるわけですが、コーヒーの生豆自体には酸味は含まれていません

酸味は生豆に熱を加えることによって生まれ、徐々に分解されていきます。

浅煎りは酸味がピークを迎えた時点で焙煎が終了されるため、抽出したコーヒーは酸味の強いコーヒーになりますが、酸味は熱によって分解されるため、焙煎が深くなっていくにつれて酸味が少なくなっていきます。

酸味に関しては、どんな酸味が生成されるかは素材次第ですので、焙煎工程によって増加したり減少したりしてます。

主な酸味の種類

クエン酸/Citric acid

レモンなど柑橘類に含まれている酸味。スパークリングで弾けるような感覚。クエン酸は未熟なチェリーに多く含まれていますが、熟すと糖類に変わります。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/ACM-jp

 

・リンゴ酸/Malic acid

りんごに代表される酸味でフルーティな味わいを形作ります。リンゴ酸も比較的明るい酸味ですが、クエン酸ほど強い酸味と明るさを感じさせない。また質感に丸みを感じる。
コーヒーの成熟にかかる時間が長いほど多く含まれる。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/ACM-jp

 

・酒石酸/Tartric acid

ワイン用ブドウ品種に見られる酸味。焙煎豆には僅かしか含まれていないがwineyやグレープといった印象で人間は感知できます。深いマウスフィールがあり、渋味のある後味を残します。

引用:Perfect Daily Gring

https://perfectdailygrind.com/2015/11/coffee-science-whats-acidity/

 

・リン酸/Phosphoric acid

炭酸ジュースのようにシュワシュワした感じを出す。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/take/ACM-jp/texts/5507194-1-3

甘さが他の酸味よりも強く、軽い収斂味を感じさせる酸味。

他の酸味に比べてやや馴染みの少ない酸ではありますが、エチオピアのウォッシュドのコーヒーなどに含まれている印象です。

 

・酢酸/Acetic acid

お酢のような香りのする酸味。低濃度では切れ味やライムのような軽度なフルーティな風味として知覚されますが、高濃度では発行集のような匂いがしてしまう。
酢酸の味と香りは他のフレーバー(特に糖類)と組み合わさると、ワインやシャンパンのような風味につながる。

引用:coffee strategies

Q Grader Matching Pairs Exam - supplies and how to study for the test

 

・乳酸/Lactic acid

ミルクの酸として知られる。
コーヒーにボディを与える。ショ糖が分解されて生成されるため、焙煎が進むにしたがってボディが増えていくのはこの酸味のおかげ。

引用:coffee strategies

Q Grader Matching Pairs Exam - supplies and how to study for the test

 

香り

焙煎によってコーヒーの香りが生成されていますが、所謂ローストされた香ばしい香り以外にも、フローラルやチョコレートライクのような様々な香り成分を焙煎によって作り出しているわけですが、これにはストレッカー分解という反応が大きく関わっていると言われています。

これは焙煎中のメイラード反応に副次反応というふうになっており、この反応によって約800種類ものコーヒーの香り成分を作り出していると言われています。

 

苦味

苦味にも様々なタイプの苦味があるため、あまり一括りにはできないのですが、焙煎によって苦味を形成します。

単純に焙煎を長くしていけばよりカラメル化が進み、カラメルが焦げたようないわゆる深煎りの苦味というのが生成さっれるわけですが、浅煎りでも焙煎エラーを起こすことで苦味を感じたり、焙煎によって発生した煙が豆に付着することで苦味を感じたりすることもあります。

 

主な苦味の種類

・カフェイン/Caffeine

アラビカ種は平均1.2%含まれる。焙煎後は水分の減少に加え多くの成分が分解されるが、カフェイン は安定している為焙煎後のカフェインの割合が高くなる。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/take/ACM-jp/texts/5507193-1-2

 

・トリゴネリン/Trigonelline

カフェインと同様アルカロイドに分類される。アルカロイドは生豆中に3~2%存在するが焙煎によって90%が失われる。苦味になる一方でピラジン、フラン、アルキルピジン、ピロールのような好ましい香気成分を作る。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/take/ACM-jp/texts/5507193-1-2

トリゴネリンを焙煎中に上手く分解できない場合、コーヒーにドライな印象を作ってしまいます。その場合はディベロップメントタイムを稼ぐことで分解することが可能です。

 

・クロロゲン酸/Chlorogenic acid

ポリフェノールの集合体。抗酸化物質でもあり、苦味もある。
生豆中に5.5%~8%含まれるが、中煎りで50%失えわれる。
焙煎が未発達や過発達では金属っぽさやドライさを出す。
ポリフェノールはタンニンで知られる。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/take/ACM-jp/texts/5507193-1-2

クロロゲン酸は主に“渋み”として知られる物質です。
焙煎中にクロロゲン酸の加水分解が上手く行えなかったコーヒーはアストリンジェント/渋みの印象を強く残してしまいます。クロロゲン酸の加水分解は約170℃あたりで活発に行われる為メイラードフェーズを長く取ることで減少させることが可能です。
また、ケニアの品種として知られるSL-28という品種はクロロゲン酸含有量が多い品種として知られています。

 

・キナ酸/Quinic acid

苦味を呈する。クロロゲン酸から分解されキナ酸の割合が増加する。
主要な苦味成分のため、苦味を抑えようと思ったときはキナ酸を増やさないようにと考えて、焙煎を浅くする必要がある。
キナ酸はコーヒーのクリーンなアフターを作り出す。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/take/ACM-jp/texts/5507193-1-2

 

・コーヒー酸/Caffeic acid

クロロゲン酸は熱に弱いため、焙煎中にコーヒー酸に分解される。
コーヒーの深い香り、色や苦味の主成分。
リラックス効果や癌細胞の転移や増殖を抑制する効果がある。

引用:Barista Hustle アドバンスコーヒーメイキング

https://japan.baristahustle.com/courses/take/ACM-jp/texts/5507193-1-2

 

まとめ

今回は焙煎って何をしているかと、焙煎によってどんなものが形成されるのかというのをざっくりと説明させていただきました。

次回は焙煎のフェーズごとの変化とそれのコーヒーへの影響という部分をざっくりとまとめていきたいと思います。

【焙煎】排気でコーヒーのテイストはどう変わる?

こんにちは、WRCのレオです。

今回は抽出ではなく、“焙煎”です。その中でも排気と言う部分に着目していきたいと思います。

 

 

排気とは

排気とは焙煎機中の空気の流入のことだと思っていただければわかりやすいかなと思います。

コーヒーの焙煎では火力を上げ下げするカロリーの他、排気量をコントロールすることで味わいを作っていくことができます。

焙煎機によりますが、排気を圧力で常に一定に保つ焙煎機や、Loringのような熱風焙煎機は基本熱風で火力を加えるわけですから常に排気は開いてる状態となります。また、国産の焙煎機等では、ダンパーと呼ばれるレバーのようなもので排気量をコントロールするものがあります。

 

排気を操作して起こること

排気は焙煎機中の空気の流れだと先で記述しましたが、ここでは排気量を上下させるとどの様な状態になるかを簡単にご説明します。

 

排気を多くする(開ける):
焙煎機中の空気の流入が増えることになります。その為焙煎中に発生した煙や不純物を空気によってドラム外へと排出されます。
熱せられたドラム中に空気が流入するためドラム内の温度が低下します。
空気とはいえ、熱源によって温められた熱風となるため、コーヒー豆への対流熱としてカロリーが加えられます。

 

排気を少なくする(閉める):

焙煎機中の空気の流入が少なくなることになります。その為焙煎中で発生した煙などがコーヒー豆に付着する場合があります。
空気の流入が少なく、熱源によってドラムが温められ、内圧が大きくなります。
対流熱の割合が少なくなる代わりに、熱せられたドラムからの伝道熱が主な熱源になります。

 

排気量の検証

今回は3つのサンプルを使用し、排気のみを変えた場合、テイストにどのような影響を及ぼすのかを実験してみます。

 

焙煎機

使用する焙煎機は家庭用の焙煎機であるSandbox Smart Roaster R1です。

www.sandboxsmart.com
こちらは台湾製の小型焙煎機で、110Vの電気で動きます。
熱源は3本の電熱で、ドラムは穴が複数空いている網目のものなので、電熱直火式焙煎機となります。

 

焙煎プロファイル

使用豆:グアテマラ サン・フアン ブルボンテキシク ウォッシュド

投入量:60g
投入量の推奨は100gとなっておりますが、家庭用で熱源が電気なのでそこまで火力が強くない為100g投入してしまうと焙煎時間がやや長くなってしまいます。その為少なく設定しました。

投入温度:120℃

火力:投入からボトムまで10% / 排気30% Drying phase:90% 1分〜 

   Maillard phase:80% 5分〜 190℃:70% 8~9分 Development phase:30% 40秒間

 

プロファイル 1(以降1)

Drying phaseの排気を30%とやや閉め気味に設定し、Maillardに入った段階で火力の変更と共に排気を50%に開けます。その後Development phaseで排気を75%に開けて40秒経ったら終了です。

 

プロファイル2(以降2)

Development phaseまで常に排気を50%に設定します。Development phaseに入ったら排気は75%まで開けて、40秒経ったら終了です。

 

プロファイル3(以降3)

最初から最後まで排気を75%に開けていきます。Development timeは全て一緒の40秒です。

 

焙煎履歴

1.

1st Crack:09:03 / 197℃  TRT:09:42 / 198℃

 

2.

1st Crack:09:14 / 197℃ TRT:09:53 / 197℃

 

3.

1st Crack:09:36 / 195℃ TRT:10:15 / 197℃

 

このような結果となりました。
上記でも軽く触れた通り、排気量を増やした3→2→1の順で焙煎時間が長くなっています。
これは単純にドラム内の温度が空気によって温度上昇が悪くなっていることが原因です。

面白いのが、3の排気を75%で統一しているプロファイルのみ1ハゼ開始の温度もやや低い温度で迎えていると言う点です。1と2で1ハゼ開始温度に変化が見られなかったのは、Drying phaseのみ排気が異なるだけで、後半の排気は同じだからだと考えられます。

1ハゼは豆内部に吸収された熱エネルギーが外に向かって放出されることで起こる現象のため、1ハゼ温度を低く迎えたと言う事は3の排気量を多くしたプロファイルの方が1,2に比べて熱効率が高いからなのかもしれません。しかし、表面温度の上昇は緩やかとなる為焙煎時間は長くなると言うことでしょうか。

 

テイストの違い

カッピングにてどのような味の違いがあるのかを見てみたいと思います。

 

カッピングの条件

粉量:11g

湯量:180g

湯温:95℃

挽き目:21 clicks COMANDANTE

ブレイクは4 分で3回上澄みをブレイクし、10分から啜りはじめました。

 

結果

  1. 3つの中で一番味わいがしっかりしており、主に甘さとボディに厚みを感じました。
    フレーバーはエンザイマティックアロマよりかはブラウンシュガーを思わせるシュガーブラウング系の強度の方が高く感じます。アフターテイストにややcitric,malicを感じる印象です。甘さ、酸味共にはっきり感じられる印象です。
    ロースト香はやや感じられ、3つのうち最も香ばしさを感じました。
  2. こちらはドライの状態からも1よりは少し明るめの印象、3よりかはややロースティーな印象を受けました。カップの印象もまさにそのような味わいで、1に比べるとややボディ、甘さが弱く感じ、酸の印象が明るくなり、よりcitric,malicが明るくはっきり感じ取ることができました。
    よく言えば一番バランスが取れていると感じますが、テイストの傾向上、香ばしさと酸味が共存しており、個人的にそれがネガティブな印象を感じてしまい、3つのうちで一番好みの味ではありませんでした。
  3. 3つのうちで一番ボディが軽くなり酸の印象がよりはっきり明るく感じます。そしてとにかくクリーンで綺麗な味わいのコーヒーになりました。
    ドライの段階からもややフローラルでハーバルな印象を受け、カップでもその印象が強く感じられ、同じコーヒーとは思えないくらい、綺麗でクリーンな味わいでした。
    反面、他のコーヒーに比べてやや甘さが足りないのでもう少しDevelopさせた方が良さそうだなといった印象は受けました。

 

まとめ

排気一つでここまでテイストが大きく変わるとは少々びっくりしました。
しかし、この焙煎機もあくまで家庭用であり、できる限り差異なく行いましたが、毎バッチごとのズレは生じています。そして一度の検証だけで判断すべきではないと感じますが、この結果は今後の焙煎傾向に大いに有益な情報になると感じています。

 

この結果から推測できる排気によるテイストへの影響という部分に関しては、排気量を増やしていくと結果的に伝道熱効率を下げる為焙煎時間は長くなります。伝道熱は豆の表面に直接影響を及ぼす為短時間で表面温度を上昇させます。その結果ドライとカップからも感じたように少し香ばしさを感じやすい傾向、そして短時間で焙煎を終了させるためにしっかりとしたメリハリのある味わいを作っているのかもしれません。
逆に排気量を増やした状態というのは温度上昇を緩やかにするため焙煎時間が長くなります。焙煎によって生じた煙などが一切篭ることはないので、クリアな味わい、コーヒーの本来の味わいというのが感じやすくなるのかもしれません。

 

また、1ハゼ温度が変わりました。1ハゼは豆内部の熱量が限界に達した時に吸収した熱量を放出する現象ですので、排気量を増やすというのは、対流熱の割合を増やすことになりますので、豆内部に影響を及ぼしやすいのは対流熱ということになります。
まぁ考えてみればそうですね、フライパンでお肉を焼いた時も短時間で表面に焼き色はつきますが、中はレアなんてこともあります。逆にオーブンなどでじっくりと火を入れて行った方が内外差は小さくなります。

 

 

【コーヒーレビュー&ドリップ】april coffee Ethiopia REGESSA Natural

こんにちは、WRCのレオです。

本日はコペンハーゲンの有名ロースター"april  coffee”から届きましたRegessa Stationのコーヒーを実際に淹れてみてレビューしていきたいと思います。

 

REGESSA STATIONの情報

Regessa と言うのは農園主の方の名前?なのでしょうか。

 

ちょっと調べても出てこなかったのでおそらくそうなのだと思います。

 

彼はエチオピアのシダマ県ベンサ地区ボンベ村で生まれ育ちました。
彼は大学時に農業経営について学び、その経験から収穫、プロセス、ドライイングに熟知しています。
彼は4ヘクタールほどの小さな農園を経営しており、バナナの木をシェードツリーとして使用しており、その農園で9000本以上の単一品種である74158(Kurume)を育てています。

 

エチオピアなどのアフリカのコーヒーは多くの農家さんからチェリーを集めて処理する場合が多いですが、このコーヒーはエチオピアの中でも珍しく、単一農家のコーヒーですね。最近になってからちらほら見かけるようになりましたが、まだまだ珍しいですよね。

 

コーヒーの情報

産  地:エチオピア

農  家:Alo

品  種:Krume 74158

標  高:2270-2290m

精製処理:ナチュラ

テイスト:ラズベリー、フローラル、シトラス

 

価格帯

僕はサブスクリプションを使用しているので毎月大体同じような価格帯にはなりますが、単品価格ですと250gバッグで221krとなっていますので、日本円で大体4000円ちょっと。プラスで送料が75krと約1500円ほどかかるといった値段設定ですね。
なので、大体100gあたり1600円ほどといった価格帯。

 

豆面と焙煎度合い

割と小粒な印象ですね。2200m以上で育てられているのでだいぶ密度が高いことが予想されます。そしてエチオピアではEhiopian Heirloomとざっくりとした表記で品種が記載されていますが、さすが単一農家単一品種ロット、カラーも全ての豆均一に焙煎されています。

 

そして分かってはいるけど浅い!!
april coffeeはとても浅煎りにこだわっていて、どのコーヒーもとても個性的で綺麗なトーンのコーヒーが多いです。
今回のコーヒーも浅煎り特有のフルーティなアロマと色鮮やかな酸味が期待できそうです。

 

カッピング

このコーヒーの特徴を捉えたいので、カッピングを行っていきます。

カッピングの手順・条件は以下の通りです。

  1. 11gの豆をCOMANDANTEで21clicksで挽く
  2. ドライの香りを確認
  3. 95℃のお湯を180g注ぐ
  4. ウェットの香りを確認
  5. 4分で3回上澄みをブレーク
  6. 10分からすすり始める

カッピングの評価

実際にカッピングを行って感じた事は、
非常にスムースでクリーンな口当たりだと言う事、そして甘さがとてもしっかりと感じられました。
中でもチョコレートライク、そしてブルーベリーのような甘さが強いかなといった印象で、うまい具合にシュガーブラウニングとエンザイマティック系の甘さが調和されていました。

酸味に関してはそこまで高くはなく、Citricな酸味を感じることができました。ナチュラルプロセスなのでそこまで酸の強度は高くなさそうですね。

 

そして次にボディですね。ボディもそこまでウェイトがあるような感じではなく、やや軽めのボディでスムースな質感ですね。

全体的な印象としては非常にクリーンで綺麗。そして甘さのしっかりとしたエチオピア ナチュラルといった感じです。

 

ドリップコーヒー

使用器具

  • ドリッパー:april brewer(プラスチック)
  • グラインダー:COMANDANTE 
  • スケール:ハリオ
  • ケトル:Brewista

april coffeeを淹れるのですから、使うのはもちろんapril brewerです。その中でもプラスチック製のものを使用します。プラスチック製の方が温度保持を高くすることができるので、酸味を明るく抽出することが可能だからです。

 

レシピ作成

先のカッピングにより得られた情報をもとに、より美味しくできるようにレシピを考えていきたいと思います。

カッピング時では特に甘さの印象がよく感じられたので、その点を活かすべく、粉量は13g使い、200gのお湯を注ぐ1:15のやや濃い目のブリューレシオにしたいと思います。

逆に、酸味とボディがやや軽く感じられたため湯温でコントロールしていきたいと思います。
どちらにとってもある程度引き出せそうな86℃に設定したいと思います。

挽き目に関しては、カッピング時に21clicksで挽いた時にかなり硬く、かつ標高の高さを考慮して粗挽きの32clicksに設定していきます。

 

抽出レシピ

  • 粉量:13g
  • 湯量:200g
  • 湯温:86℃
  • 挽き目:32clicks COMANDANTE
  1. 40g 0:00-0:10 circle pour  🌀
  2. 60g 0:30-0:36 center pour   ↓
  3. 40g 1:10-1:20 circle pour   🌀
  4. 60g 1:40-1:46 center pour ↓

抽出時間:3分 TDS:1.23% EY:15.61% 

ナチュラルプロセスのコーヒーはウォッシュドに比べてやや味が出やすい傾向、抽出効率が高くなる傾向があります。今回はレシピベースで甘さを活かしているので、抽出では酸味とボディを引き出したところ。そのため酸味をより明るく演出するために2投目に攪拌を少なくあえて抽出効率を下げることで酸味の明るさを引き出しました。
後半も同じように一点のみで注湯してしまうと、チャネリングが予想されたため、1、2投目を繰り返すようなレシピに設定しました。

 

コーヒーレビュー

 出来上がりのコーヒーはやや未抽出気味な印象でした。エチオピアだとビビって少し粗くしすぎたようです(笑)

ですがそれを考慮しても酸の軽やかさと華やかさ、カッピング時以上にベリー系の印象を強く感じました。フレーバーノートに記載されたラズベリーよりも少し甘さの乗ったドライベリーのようなフレーバーを感じました。

マウスフィールに関しては、未抽出のためややウォータリーですが、口当たりは柔く、クリーンで阻害要因は全くないです。

冷めるとより強くドライストロベリーのような甘酸っぱいフレーバーを感じ、より自然体な甘さを感じられます。

カッピング時に感じたcitricなクリスピーな印象もありつつ、湯温を落としたことで、citricな強めの酸味から、lactic系の丸い酸もより感じられました。

 

少し粗くしすぎた点が難点でしたが、エチオピアナチュラル特有のベリー系のフルーティなフレーバーと濃厚な甘さで、非常に満足のいくコーヒーでした。

【ドリップレシピ】グアテマラの美味しい淹れ方

こんにちは、こんばんはWRCのレオです。

僕は本当に常にコーヒーの淹れ方ばかり考えていて、日々あーでもないこーでもないと考えているわけなのですが…

このブログでは、そんな僕の頭の中の検証結果として、豆ごとに合わせたレシピを綴っていきたいなと思っています。

 

第1段は現在WRCで扱っているグアテマラ サンフアン農園のブルボンテキシク ウォッシュドプロセスのコーヒーです。

 

 

コーヒーの情報

農  園:サンフアン

産  地:アンティグア

農  家:Elizabeth Eger / Luice Pedro Celaya

標  高:1800 - 1850 m

品  種:ブルボンテキシク

生成処理:フリーウォッシュド

 

グアテマラ・アンティグアは3つの火山に囲まれた盆地で、火山灰質の豊かな土壌が広がり、山から吹き付ける冷涼な空気が昼夜の寒暖の差を生み出します。最高品質のコーヒーを作る自然条件が揃ったアンティグアは、グァテマラで最初にコーヒー栽培の始まった伝統に加え、また古くから最高品質コーヒーの代名詞です。また、コーヒーの名とともに、古都アンティグアは町全体が世界遺産となっており、中米の一大観光地です。

 

このアンティグアを代表するコーヒー生産者がルイス・ペドロ・セラヤ氏です。自身の農園だけでなく、アンティグア域内の各農園の農園管理も受託し、約20の農園を管理しています。サンフアン農園も同様に不在の農園主に代わって農園管理を受託し、最新の農学に基づいて、マメ科のシェードツリーを一定間隔に綺麗に配置し、また収穫日ごとのマイクロロット管理によって、「アンティグア・コーヒー」のブランドを超える素晴らしいコーヒーを提供してくれます。

 

このサンフアン農園は、アンティグアを囲む山の斜面にあります。アンティグアのコーヒー農園の多くが盆地の底、標高1500-1600mにありますが、サンフアンは少し高い場所にあり、テロアールも少し特徴的です。テキシク品種は、エルサルバドル生まれのブルボンの選抜品種で、通常はブルボンとして栽培、販売されているようですが、面白いことにエルサルバドルではあまり評価が高くなく、ここアンティグアのセラヤ氏は、この風味を評価し、様々な農園で栽培しています。

引用元URL:

www.specialty-coffee.jp

 

カッピング

まずは豆がどの様な特性があるのかを知るために、カッピングを行います。

 

〜条件と使用器具〜

Brew Ratio 1:16.6

今回は抽出に特化した目的で行うため、粉12gに対し、お湯200gを使用します。

この比率は僕が抽出する際に最大まで引き伸ばした際のBrew Ratioのため、ここを分岐点とします。

 

・挽き目 COMANDANTE C40  20clicks

メッシュサイズ#20を70~75%透過した挽き目が僕の所持するコマンダンテではこの辺りのため、こちらの挽き目を使用します。

 

・湯温 93℃

普段90℃以上あまり使用しないので、今後は下げるかも?

 

手順に関しては4分にブレイク*1し、今回は8分からすすり始めます。

では、実際にやってみましょう!!

 

〜カッピング結果〜

カッピングの結果、このコーヒーにはシュガーブラウニング系のキャラメルやチョコレートの様な綺麗で柔らかい甘さに特徴があることがわかりました。それでいて、アフターテイスにはストーンフルーツや青リンゴの様な繊細な酸味も感じました。

ボディはミディアムライトでシルキーでスムースな口当たりです。

各要素が補いあった非常にバランスの良いコーヒーだと感じました。

この点を踏まえてコーヒーのレシピ作成に移っていきたいと思います。

 

レシピ作成

まず、ドリッパーの選定ですが、円錐形のドリッパーよりもフラットボトムタイプの方が合いそうだと感じました。

理由としては、甘さと酸を両立させたいので、ある程度粉とお湯を触れさせる必要があるため、お湯抜けが早すぎると甘さに欠けてしまうと感じたからです。

そこで今回は、april brewerを使用したいと思います。

このコーヒーは派手なフレーバーは感じなかったため、フラットの中でも早く抜くというよりかは、安定したフローレートで抽出した方が最終的なカップクオリティが上がると感じたからです。

 

粉とお湯の比率ですが、1g粉を増やして1:15.3のBrew Ratio*2にしたいと思います。

フレーバーの強度はそこまで高くなかったのと、酸の輪郭をはっきりさせるためです。

 

挽き目はCOMANDANTE 28clicks で挽いていきます。細かくして、早く甘さを挽き出すのでも良さそうだと感じましたが、甘さの質が非常にナチュラルだと感じたので、甘さは抽出時間でコントロールすのが良いと判断したのと、繊細な酸味を明確にしたいと思ったので、やや粗く挽き、酸の穏やかかつ綺麗な印象を引き立てたいと感じました。

 

お湯の温度は87℃でいきたいと思います。よりエンザイマティック*3の強度がはっきりしているなら90℃以上でもいいかなと思いましたが、やはり一番感じたのはシュガーブラウンニングです。そこをしっかりと補いつつ、酸を犠牲にしないのはこの辺りかなと判断したからです。

 

では、抽出に移ります!

 

抽出

〜抽出器具〜

使用する器具を載せておきます。

 

 

  • グラインダー:COMANDANTE C40

           https://amzn.asia/d/3APApbT

 

なるべくシンプルに再現性のあるレシピかつ、意図性をクリアできることを目標とします。

 

〜抽出レシピ〜

豆:グアテマラ サンフアン ブルボンテキシク ウォシュッド

湯温:87℃

挽き目:28clicks (COMANDANTE)

Brew Ratio:1:15.3 (粉13g:湯量200g)

  1. 50g circle  0:00 - 0:10
  2. 50g circle  0:35 - 0:45
  3. 50g circle  1:05 - 1:15
  4. 50g circle  1:35 - 1:45

TBT 2:45  TDS 1.40%


〜レシピの意図とカップクオリティ〜

レシピはトータル湯量を4分割し、粉と湯のコンタクトを増やすことで、甘さと酸味、ボディのバランスをとることにしました。

 

湯量を前後させることなく、一貫した湯量を注ぎ続けたのは、抽出の均一性を高めるためです。

全ての注ぎにおいて注湯間隔を30秒にしても良いと感じましたが、やや粗め、湯温の設定ともにやや酸よりに傾いているため、あえて1投目のみ5秒引っ張ることで抽出効率を高め、酸の印象がサワーになることを防ぎました。

 

抽出においてより細かいことを言うと、常に水位が一定のラインにとどまる様に注ぎました。水位を上昇させた場合、フローレートは早くなりますが、ウォッシュドの様な硬い豆の場合、水位が下がったタイミングで目詰まりを起こす可能性があったため、メインの抽出中は常に同じフローレートを保つため、前半はややアグレッシブに注ぎ、後半は真ん中に戻り、ゆっくりと一点に注ぐことでフローレートを担保しています。(全て10秒以内)

 

カップの印象は、まず綺麗なキャラメルやトフィーの様な甘さが際立っており、鼻にフローラルなややボタニカルなアロマも感じました。

冷めてくると、アプリコットやイエローピーチ、そしてレモンキャンディーの様な柑橘の酸味を感じました。

ボディはミディアムでスムース、冷めるとジューシーな口当たりに。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

この様に、まずは豆の情報を得て、カッピングで素材を知ることで自分好みのコーヒーを作ってみてはいかがでしょうか?

コーヒーのレシピに正解不正解はなく、自分ならどうするか、どんなコーヒーが飲みたいかから逆算することでコーヒーは非常に楽しくなります。

 

今後も僕の豆以外でもやっていくつもりなので、読んでくれたら嬉しいです。

では、また👋

 

*1:3回スプーンで上澄みを攪拌

*2:粉とお湯の比率

*3:有機