WHITE ROOM COFFEE BLOG

コーヒーの抽出に特化した記事をメインに記載します

注湯回数と注湯間隔でコーヒーのテイストはどう変わる?

ご無沙汰してます。WRCのレオです。
本日はドリップコーヒーでの注湯回数と注湯間隔がそれぞれどう作用しているのかを検証してみたいと思います。

 

 

使用器具と検証方法

使用器具

検証方法

粉量は14g 湯量は200gのBRは1:14とする。

  • 5回注ぎ:60g,60g,30g,30g,20g
  • 4回注ぎ:60g,60g,50g,30g

各注湯量は上記のように設定し、前半2投でBRの60%を注ぐことで均一性をとることにしました。

それぞれのTDSとEYを揃えた上でテイストをとり、判断することにします。

 

検証1:注湯回数

検証1回目は注湯回数でのリアクションが見たかったので注湯間隔は30秒に統一し、湯量を5回と4回に分けてTDS,EYを揃えてみました。湯温はどちらも90℃です。

使用した豆はニカラグアのウォッシュドプロセスのコーヒーです。

結果

  • 5投:25clicks TBT2:20 TDS1.4 EY16.59
  • 4投:24clicks TBT2:00 TDS1.4 EY16.59

テイストは4投の方が酸味が強く、明るく感じました。

ウェイト感は4、5投共にそこまで大きく差は感じませんでしたが、5投の方がややSyrupyな粘性で甘さもより感じられました。

4投は比較するとややAcidicな印象を受けたが、それ故にEnzymatic aromaがキャッチしやすく、5投はSugar browing sweetnessを感じやすい印象でした。

これは4投の挽き目が1つ細かく、酸味が出やすい状況かつ1投少ないことで抽出時間も短くなることからも理解できるかと思います。

しかし、5投のコーヒーではEnzaymaticがマスキングされているというよりかは、sugar browningがより強調されていることでテイストの差が生まれていると考える方が自然だと感じます。

そのため注湯回数を増やすというのはお湯と粉が触れる回数が上昇することで、比較的分子量の大きい甘さや質感を形成する成分をより引き出せるのではないかと感じました。

 

検証2:注湯間隔

次は注湯間隔を広げた時のリアクションがみたかったので、4投で30秒間隔と40秒間隔でそれぞれTDSを合わせにいき、検証しました。

結果

  • 30秒間隔(A):23clicks TBT 2:23 TDS 1.51
  • 40秒間隔(B):26clicks TBT 2:45 TDS 1.51

テイストはBの方がacidicな印象。

ボディはAの方がミディアム、Bはミディアム〜ミディアムライト。しかしどちらとも粘性が感じられました。

Aは挽き目が細かいことから多くの成分を取り出せており、味わいが複雑で甘さが感じやすい印象です。

酸味のIntencityはBが強く、Brightでややシャープな酸味。 Aは丸みのある酸味。

濃度はどちらも同じだが、確実にカップに含まれた成分が異なる印象を受けました。

Aは酸味以外の成分も多く、甘さと複雑味のあるカップへ、Bは大枠が酸味の状態で目的濃度に達しているためやや酸味に傾いた印象。Bで粘性が生まれたのは、コンタントタイムによるものだと考えられます。今回の場合は粉の表面積の差がテイストに反映されているため、挽き目と時間の影響は非常に近しいのだと考えられます。

 

検証3:注湯回数と注湯間隔

それでは最後にこれら要素を組み合わせた場合の変化を検証するために30秒間隔で5回に分けた抽出Aと40秒間隔で4回に分けた抽出Bとで検証を行います。

この時A,Bどちら共に最後の注ぎ時間が2分からとなります。その際の挙動を見ていきたいと思います。

今回使用した豆はエチオピアのウォッシュドのコーヒーです。

結果

  • 5投 30秒間隔 A:25clicks TBT 2:47 TDS 1.41
  • 4投 40秒間隔 B:25clicks    TBT 2:50 TDS 1.38

何度か挽き目を調整し、合わせようと試みましたが、全く同じにすることができなかったため、一番近しい数字に出たものを比較しました。

Aは少し濃度が濃いためか、酸の明るさが明確で、よりフレーバーのトーンが濃く感じました。Bはフローラルノートや甘さを伴うフルーツノートがキャッチしやすく、甘さも感じやすい印象です。

しかしながらAの方がテイストが強く、かつ酸のIntensity、甘さのIntensityが強く感じます。全体的な強度はおそらくAの方が強く感じられます。そしてBは1回分の接触が少ないが故に、成分の移動量が少なくなり、軽めのニュアンスが故にややEnzymaticが感じやすくなったのだろうと考えられます。

そして非常に面白い点がありました。それは淹れ終わりのスラリーの状況です。

Aは上部に微粉確まり、底部に粗い粒子が溜まっていましたが、Bは逆で粗い粒子が上部にあり、底部に微粉がある状況でした。その為Bはわずかに遅い流速であったと考えられます。

 

まとめ

これら検証から考えられることは注湯間隔を伸ばすと収率を大きく向上させることができると考えられます。それは検証2,3からも導き出せたことですが、1回分の接触回数が少ないにもかかわらず、ある程度未抽出サイドに持っていくような働きをしないと、目標とするTDSを超えてしまうからです。40間隔で注いだコーヒーは全体的に甘く、濃度間の高いコーヒーに仕上がりました。

そして注湯回数は味覚要素の強度に影響していると考えられます。4投と5投で比べると4投の方がややシャープな酸味になり、5投は丸みはあるが強度は高くなる。

質感に至っては、4投に関しては成分の移動量が少ないが故に軽く感じ、Acidicに感じるのだろうと思います。5投と多く分けることにより、分子量の大きい質感を形成する成分を効率的に抽出できる為ボディのIntensityも向上し、粘性もついてくるのかなと感じます。
しかし粘性だけならコンタクトタイムの上昇のみでも確認できた為、やはり質と強度は明確に区別する必要があると感じました。